Amazon Prime Videoで配信中の映画『明日への地図を探して』を鑑賞しました。
素敵な作品でしたね~。
こちらはタイムループものとなっておりまして、同じ日が繰り返される男女の交流が描かれています。
これまで観たタイムループが描かれる映画を思いだして、ジャンルでくくると…
『恋はデジャ・ブ』→ラブロマンス
『ハッピー・デス・デイ』→ホラー
『パーム・スプリングス』→コメディ
になるのかなと、今作は
『明日への地図を探して』→ドラマ
という感じがいたしました。
タイムループものとしてのリズミカルな演出はちゃんと楽しめますが、見どころは、そこではなくドラマの部分だなと思っております。
では、詳しく感想をしたためていきますー。
(※ネタバレを含みます、おおいに執筆者の主観がまじっていることをご留意ください)
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日常の”奇跡”たち
冒頭、繰り返される日常をなんの違和感なくすごすマークの姿がコミカルにうつされます。タイムループに大分慣れているご様子。
そんな彼の毎日にとある変化が訪れる。それが、おなじくタイムループにはまったマーガレットですね。
同じ境遇の2人の出会いから、繰り返される日常に少しづつ彩りがあたえられていく…って感じの導入です。
この映画では劇中、何かを探すという行動がたびたびうつされます。
マーガレットは迷い犬を
マークはマーガレットを
そして…
出会った2人は”特別な瞬間”を探しはじめる。
この”特別な瞬間”は劇中では…
・鷲が魚を捕食するところ
・清掃員がピアノを奏でる姿
・?のかたちをした雲
などなど。
2人が素敵!!と思えることを探し、それらを「奇跡」と表現しています。
この”奇跡”を目の当たりにすることで、惰性な毎日に彩りが加わっていき、嬉々とする2人を見守ります。
”奇跡”=日常の人々のごく自然な瞬間
…と考えらえます。
そして、その瞬間を味わうことで生きる意味をふたりが感じているように思うんです。
これを観たときに、Disney+で独占配信されています映画『ソウルフル・ワールド』を思い出しました。この作品では、”夢を追いかけることはすばらしい”というメッセージが描かれていると思いきや、そのさきが描かれています。どういうことかというと”夢ばかりに執着しなくとも、日常にある”奇跡”を味わうことも大切ではないか”という哲学チックなメッセージです。
『ソウルフル・ワールド』のこのメッセージは今作のマークとマーガレットが探しているものと重なります。
こうしてふたりは”生きる意味”を探しているのですが、探すということは、自分の外側にその事象を目撃するということであります。すなわち、ふたりは”奇跡”を外界に頼っていて、自分の内側からつくりだしていないんですね。
そのことに気づいたマークは”奇跡”を自ら創りだそうとする。それがマーガレットへの”愛”としてあらわれます。
しかし、拒絶するマーガレット…残念。
変化を許すということ
ここにマークとマーガレットの違いが見出せます。
マーク ⇒ 変化を望む
マーガレット ⇒ 変化を拒む
…ですね。
それで、なんやかんやでタイムループを終わらす糸口を見つけた2人。しかし、マークはそれを望みますが、マーガレットはそれを拒んでいるんですね。
・マーガレットがマークからの求愛を拒んだこと
・マーガレットがタイムループを終わらせたくないこと
この2つは=で結ばれます。
変化(=愛)を拒むマーガレットが描かれているわけですね。
このあたりからマークの基点から語られていた物語がマーガレットの基点に切り替わります。そうして、わたしたちはマーガレットの変化を拒絶する理由をみることとなります。すなわち、母の喪失へのおそれです、マーガレットの一日は母の命日だったんですね。
母の喪失 = 変化
を意味します。
変化というものは、わたしたちに不安と後悔、恐怖をあたえるものでもあります。マーガレットにとってのそれは、母の死だった。
そりゃ、明日を迎えたくない気持ちになるのもわかりますよねー。
また、マークの基点からマーガレットの基点に切り替えるという物語構造の変化は
”主人公”の転換 ⇒ 他者性の理解
とあらわしているように思います。
他者性 = 自己とは異なる、他者としての特性・固有性・異質性
とあります。
他者とは異質だということ。自分の望むようにはならないし、自分の安らぎが貶められる可能性だってある。
これは、他者との交流にはリスクがあるということを意味します。
それを踏まえたうえで、マークはマーガレットを愛さなければならないし、マーガレットは母の死という変化を受け入れなければならない。
変化を許すことが愛
そう思いました。
生きるということは、変化をおそれないこと、なにかを愛することが大切…というメッセージを受け取りました。
マーガレットを愛するマークのように、母の死を受け入れるマーガレットのように、わたしたちも変化していければいいですね。
まとめ
人生は”惰性”ではなく、”変化”することが本当に大切だと思います。
変化は、悲しいことであり、苦しいことであり、美しいことでもある。
「必死に生きるか、必死に死ぬか」
映画『ショーシャンクの空に』
わたしは、必死に生きたいと思います。
ここまで読んでいただき、
ありがとうございました。
(※最新の配信状況はサイトでご確認ください)
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