【特集】リリカルな文章に寄せて【おすすめ映画】

「リリカルな文章に寄せて」と題しまして、
私の好きな映画に、私の詩情をこっそりと
しのばせて、紹介するという試みです。
※リリカル…叙情的、叙情詩的。

映画を観て、すごく感動したときに、
この情緒を「詩」とするなら、どうなるか、
と考え、夢想することがあります。
切羽詰まり、その想いがこぼれるときが
あるんです。

そして、その類の文章をしたためるとき、
私の心が、今いる場所とは遠く離れた
どこかで美しい場所で、踊る。
なんて感覚に陥ります。

…ん、ちょっと違うかな。

とにかく、おすすめ映画であることは、
間違いありませんので、興味のある方は
読んでいただけたら幸いです!

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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

(C)2017 Florida Project 2016, LLC.

あらすじ

定住する家を失った6歳の少女ムーニーと母親ヘイリーは、フロリダ・ディズニーワールドのすぐ側にあるモーテル「マジック・キャッスル」でその日暮らしの生活を送っている。周囲の大人たちは厳しい現実に苦しんでいたが、ムーニーは同じくモーテルで暮らす子どもたちとともに冒険に満ちた日々を過ごし、管理人ボビーはそんな子どもたちを厳しくも温かく見守っていた。そんなムーニーの日常が、ある出来事をきっかけに大きく変わりはじめる。

引用:映画.com

執筆者memo

夢の国なんてないこの世界に、それでも夕日の残照に型取られた彼らが美しくみえるのは愛があるから。

僕がいつかは夢の国に行って、ニック・ワイルドを抱きしめたいと思っているのと同じ。着ぐるみのなかの人がどんな人で、どんな神経でそん中に入ってんだって疑問を度外視して、その度外視そのものによって着ぐるみのなかの人が傷ついてしまうのではないかという憂いにも目を伏せて、いつかはツーショットをいつかできる半永久を共にする伴侶に撮ってもらいたいと願っているのはそこに愛があるから。

幸福というものに変化と終焉があるように、その場しのぎと現実逃避に満ちた虚構の世界の闇のなかを愛を胸に僕らは死んでゆく。

詳細情報

原題:The Florida Project
監督:ショーン・ベイカー
脚本:ショーン・ベイカー
出演:ブルックリン・プリンス、ウィレム・デフォー、ヴァレリア・コット
制作年:2017年
制作国:アメリカ
時間:112分

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ダンボ

(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved

解説

1941年製作のディズニー・アニメの古典的名作「ダンボ」を、「チャーリーとチョコレート工場」「アリス・イン・ワンダーランド」のティム・バートン監督のメガホンで実写化したファンタジーアドベンチャー。サーカス団に飼われ、大きな耳を使って空を飛ぶことができる小さなゾウの子ども「ダンボ」が、引き離された母親を助けるため、サーカス団の家族の力を借りて新たな一歩を踏み出す姿を描いた。

引用:映画.com

執筆者memo

本当にやりたいことをしたい、本当に思っていることを話したい。それでも世知辛い世の中だ、そううまくはいかない。だから陥るうわべの付き合い、うわべの人生。世の思潮に頼り切って偏狭に凝り固まってできる私の表層は自らを偽るペルソナだ。私の意思はなくに等しく、他人の人生の枠のなかでしか息のできない私を私はいつしか許してしまっていたようだ。月を隔てて張られたテントの中に、道化の姿で白塗り厚化粧、飛ぶことの美しさを知る心を隠す孔雀の羽根の高尚なドレスなんかを身に纏い、私は必死に死んでいくのでしょう。

でも、それに違和感がある。
この感情が私の答えだ。

私を支配できるのは私の好奇心のみ。線路に繋がれた檻に留まらなくていい、私の羽根はあまりに美しいから。

翔んで

自由の底流にある愛を求めて。

詳細情報

原題:Dumbo
監督:ティム・バートン
脚本:アーレン・クルーガー
出演:コリン・ファレル、マイケル・キートン、ダニー・デヴィート、エヴァ・グリーン、アラン・アーキン
制作年:2019年
制作国:アメリカ
時間:112分

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レオン 完全版

(C)1994 GAUMONT/LES FILMS DU DAUPHIN

解説

リュック・ベッソン監督作品「レオン」に、22分の未公開映像を加えた完全版。舞台はニューヨーク。家族を殺され、隣室に住む殺し屋レオンのもとに転がり込んだ12才の少女マチルダは、家族を殺した相手への復讐を決心する。少女マチルダを演じるのは、オーディションで選ばれ、本作が映画初出演となったナタリー・ポートマン。また、寡黙な凄腕の殺し屋レオンをベッソン作品おなじみのジャン・レノが演じている。

引用:映画.com

執筆者memo

銃口を通じて世界を生きる彼は黒のコートの下に漆黒の色の脅威を身につけている。それを悟られぬよう毎朝ベランダに鉢植えを供え、丸縁の黒のサングラスで瞳を隠し、不釣り合いなほどに濃厚な白さのミルクを身体に注ぎ込む。そんな時計仕掛けに進む彼の日々に小さな顔の大きな瞳に水滴を溜めて現れた少女。その滴る涙は彼の黒色をより際立たせ、黒以外の色に染め上げてしまうような透徹された光を放っていた。彼にとってそれはとても眩しく、単調な毎日に波紋を投げかける一つの輝きのようで、目眩のするほどに美しく見えた。

生きていない大人と生まれていない少女の出逢いから、次第に二人は通い合い、彼は少女を少女は彼をその瞳に刻みながら、同じ牛乳を飲み、同じシャンパンを飲み、同じ脅威を手に取り、同じ標的を覗き、同じ血を見て、同じベットに横になり、同じ光に包まれて、同じ世界を生き始めた。

出逢った時に見た、笑みとは逆の表情に染まる少女の涙を見る時が来た。今度の彼は驚きはしない。その涙の奥に彼ももっている同じものをみたから。そして、そっと囁かれる二つで一つの真実。命の危機の切迫した時でさえも、このことは自分で噛み締めるように、相手に植え付け残すように、慎重に丁寧に語られるものだ。

太陽の光に包まれ、何本も立ち並ぶ植木に沿ったヒビの入るコンクリートの道を、彼女しか知らない尊さに溢れた鉢植えを抱え、彼女は歩みだす。世界一美しい瞳に見送られながら。

詳細情報

原題:Leon The Professional: Uncut International Version
監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン
出演:ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマン
制作年:1994年
制作国:フランス・アメリカ
時間:136分

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マイ・ブックショップ

(C)2017 Green Films AIE, Diagonal Televisio SLU, A Contracorriente Films SL, Zephyr Films The Bookshop Ltd.

あらすじ

1959年イギリスのある海岸地方の町。書店が1軒もないこの町でフローレンスは戦争で亡くなった夫との夢だった書店を開業しようとする。しかし、保守的なこの町では女性の開業はまだ一般的ではなく、フローレンスの行動は住民たちに冷ややかに迎えられる。40年以上も自宅に引きこもり、ただ本を読むだけの毎日を過ごしていた老紳士と出会ったフローレンスは、老紳士に支えられ、書店を軌道に乗せる。そんな中、彼女をよく思わない地元の有力者夫人が書店をつぶそうと画策していた。

引用:映画.com

執筆者memo

空はどんより曇り空、太陽の気配はまるでなく、あるのは雨の予感だけ。

そんな時にあなたは本屋を開くと言う。ただ本が好きだからだと、それが一番大事だからだと。消えゆく感情と消えたはずの温もりをこの手に留める術が本だったみたい。訳がわからない、国語と算数どちらが好きかもわからぬわたしには。

民意はさながら権力となってあなたを襲っている。難しい法律の本はわたしはもちろんあなたにもわからないようね。弱い者は淘汰される、それが自然の摂理みたい。

こうして生まれる怒りと祈りの狭間に燃える心を塞ぐように、この本を抱える。この本と留める、もって行きどころのないあなたの叫びを。

あなたが好きなものが、わしたにも少しわかった気がする。

詳細情報

原題:La libreria
監督:イザベル・コイシェ
脚本:イザベル・コイシェ
出演:エミリー・モーティマー、ビル・ナイ、パトリシア・クラークソン
制作年:2017年
制作国:イギリス、ドイツ、スペイン
時間:112分

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鑑定士と顔のない依頼人

(C)2012 Paco Cinematografica srl.

あらすじ

天才的な審美眼を誇る鑑定士バージル・オドマンは、資産家の両親が残した絵画や家具を査定してほしいという依頼を受け、ある屋敷にやってくる。しかし、依頼人の女性クレアは屋敷内のどこかにある隠し部屋にこもったまま姿を現さない。その場所を突き止めたバージルは我慢できずに部屋をのぞき見し、クレアの美しさに心を奪われる。さらにバージルは、美術品の中に歴史的発見ともいえる美術品を見つけるが……。

引用:映画.com

執筆者memo

立木の純粋な昇華をまえに
私の沈黙は疼きだし
せせらぎから臨める小川の誠実さや
まごつかぬ無口な岩の意思の強さに
私の安寧は崩れ始め
迸る笑顔の醜さを知り
湛えた涙がついに世界と出逢う

私は私の偽りのなかから真実を探し出し
その光明を未来へと投げかけんとする

詳細情報

原題:La migliore offerta/The Best Offer
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルヴィア・フークス、ドナルド・サザーランド
制作年:2013年
制作国:イタリア
時間:131分

まとめ

当ブログで初めて、リリカルな文章で
映画を紹介してみました。

映画についての文章って、2つあると
思っておりまして…

①映画の価値を明らかにする文章
②映画に新たな価値を与える文章

これまでは①が多かったのですが、
今回は、②を試みたわけです。
…と、自分で言うのもあれですね。
ですが②の文章を書けるような人間を
目指しつつ、これからも映画の魅力を
お伝えしていけたらと思います!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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