【Amazonオリジナルドラマ】『フリーバッグ』コメディでなきゃやってけない

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コメディの限界、ゆきつく先は人間の悲劇

Amazon Prime Videoにて配信しております
オリジナルドラマ『フリーバッグ』を鑑賞しましたので、感想をしたためますー。

画像の人物の名前がフリーバッグで、主人公ですね、アラサー、season2では33歳。演じておりますのがイギリスの俳優であり脚本家のフィービー・ウォーラー=ブリッジ。今作では製作総指揮も務めております。

いやー、面白い。
腹をかかえて笑えます。

物語は、フリーバッグの日常と、身近な人物とでくりひろげられるコメディドラマ。壮大な内容ではないのですが、とにかくフリーバッグがぶっとんでいて観ていて心地いい。交流する人物の言動を皮肉る冷笑的な彼女の姿勢が笑えるんですよね。皮肉られるのが、家族だったりするからなおさら。そんなブラックユーモア満載なドラマとなっております。

(※若干のネタバレと、ブログ運営者の主観がまじっていることをご留意ください)

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第四の壁

この作品をみて、誰もが特徴としてあげるであろうのが「第四の壁」ですね。

舞台と客席を分ける一線のこと。想像上の見えない壁であり、フィクションである演劇内の世界と観客のいる現実世界との境界を表す概念である。

Wikipedia

演劇でうまれた概念のようです。演劇のみならず映画やドラマでも第四の壁を想定できます。
映画館→スクリーン
ドラマ→テレビ画面
って感じですね。

映画『リング』の貞子は第四の壁をはい出てきたわけであります。

今作は、フリーバッグが同じことをするんですね。はい出てくるわけではないのですが、わたしたち視聴者に語りかけてくるのです、”いつも”です。映画『デッドプール』ではデッドプールが語りかけてきますが、あれの比ではないくらい”常に”です。

フリーバッグが心情を直接おしえてくれる、言葉だけでなく表情も含めて劇中の人物同士の会話中でもお構いなく、語りかけてきます。一方、フリーバッグ以外の人物には気づかれないんですね(心情だからあたりまえです)。

で、これのなにがいいのかというと…
純粋にフリーバッグの皮肉が面白いのもありますが、それ以上にですね、わたしとフリーバッグとの間に絆を結ぶ仕掛けになっているように思うのです。

映画でもドラマでも、物語というものは文字通り客観的に観て感動するわけです。ですが第四の壁の越境がくりかえし行われることで、客観的にみていたわたしたちを物語の世界に引きずり込み、フリーバッグの心情を主観的に感じざるを得ない感覚になるんですね。

で、この仕組みは物語の内容ともリンクすることがだんだんとわかってくるんです。物語の内容とはつまり、フリーバッグの”孤独”です

season1 episode1~5 はかなりフリーバッグの皮肉とブラックユーモアで楽しむことができるのですが、season1 episode6 で毛色が変わってきます、というよりもこれまでのフリーバッグのジョークすべてがフリーバッグの孤独をepisode6でかたどるための伏線だったことに気づくんですね。

そして、そのときに第四の壁の効果についてを実感します。第四の壁の越境は、フリーバッグとわたしたちの孤独を重ね合わせるためのものだったと。

しかし、物語の後半では心情を晒してくれていたフリーバッグが、涙をたたえた瞳を一瞬しか見せることができず、いつものような越境ができないフリーバッグの状態が何度か映されます。

つまり、これまで積み上げられていたフリーバッグとわたしたちの絆があってさえも共有しえない孤独があるということを知るのです。喜劇の底流にながれる悲劇を知るのです。

こんな感じで、コメディドラマだと思っていたら、ばりばりの感動をもたらす作品でもあったんですね~。

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コメディとシリアス

喜劇(コメディ) ⇒ 観客を笑わせながら、人生の真実面を表す劇
とあります。

”人生の真実面”
真実面ってなんなんでしょうか。

わたしが連想するのが”残酷”って言葉でして、喜劇とかコメディ映画って人生の残酷な部分を面白く伝えているもののように思うんです。

なので、コメディをよく観察し考えてみると、すごくシリアスだったりします。まわりからすれば、たのしいことだったとしても本人は嫌々やっていて、悲しんでいる。

そんな考えがフリーバッグにあてはまる。

今作は皮肉りで強がるフリーバッグの孤独というシリアスを扱っているように思います。

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まとめ

「第四の壁」の効果を実感することのできる素敵な作品でした。

フリーバッグの気持ちになって物語をみる、まさに追体験ですね。

・シニカルな人
・ペシミスト
・親戚が苦手な人
・コメディ好きな人

におすすめの作品です、ぜひ。

ここまで読んでいただき、
ありがとうございました。

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